私が住む韓国の食|赤土と黒土が育てる、日韓の味のちがい

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日本の黒土と韓国の赤土、まずは土の話から

私が韓国で暮らしながら食を見つめていて、いちばん最初に「日本とこんなに違うんだ」と感じたのが、土の色と質でした。日本では当たり前のように見てきた、ふかふかとした黒っぽい土。一方、韓国の畑で目にするのは、石が多く混じった赤土です。この違いが、毎日の食卓に並ぶ野菜や果物の味わいにも、静かに影響しているように感じています。

日本の黒土は、火山活動によって生まれた土壌が多く、有機物をたっぷり含んでいるのが特徴です。水はけと保水性のバランスがよく、根がのびやすい環境が整っています。そのため果物との相性がよく、甘みや香りを楽しめる作物が育ちやすいと言われています。実際、日本では果樹園や家庭菜園で果物を育てる文化が身近にありますよね。

黒土が育てる果物のイメージ

黒土の恩恵を感じやすい例のひとつが、ブルーベリーです。日本では比較的育てやすい果物として知られ、庭先やベランダで栽培している方も少なくありません。しっかりと根を張れる土壌環境が、果物づくりに向いていることを実感します。果物が身近な存在として食文化に溶け込んでいる背景には、こうした土の性質も関係しているのかもしれません。

一方で、私が住む韓国では事情が少し異なります。韓国の土壌は、岩盤が多い地形の影響を受けた赤土が中心です。水はけがよく、ミネラル分を含んだ土ですが、果物、とくにブルーベリーのような作物は育ちにくいとされています。実際、韓国では果物は「育てるもの」というより、「買って楽しむもの」という印象が強いです。

赤土が得意とする作物

その代わり、赤土が力を発揮するのが根菜類や野菜です。大根、にんじん、じゃがいも、さつまいもなど、土の中で育つ作物は、しっかりと身が詰まり、存在感のある味わいになります。韓国料理で欠かせない根菜が多いのも、この土壌環境と無関係ではないように感じています。

野菜全般に関しても、韓国の赤土は相性がよく、噛むほどに野菜本来の風味を感じるものが多い印象です。市場やマートに並ぶ野菜は、形が少し不揃いでも力強さがあり、料理すると土のエネルギーをそのまま受け取っているような感覚になります。

こうして土の違いを意識してみると、日本と韓国の「おいしい」が、同じ方向を向いていない理由が少し見えてきます。どちらが優れているという話ではなく、それぞれの土地が得意とする作物を育て、それを生かした食文化が自然と根づいてきた。その積み重ねが、今の食卓につながっているのだと思います。

韓国の食を知る入り口として、料理やレシピだけでなく、「どんな土で育ったのか」に目を向けてみると、見えてくる景色がぐっと広がります。ここから先は、そんな赤土の大地で育つ韓国の農作物を、もう少し身近な視点で見ていきたいと思います。

赤土の大地で育つ韓国の野菜と穀物の個性

韓国の赤土を語るうえで、どうしても外せない存在が高麗人参です。韓国の食や暮らしを象徴する素材のひとつであり、赤土の土地だからこそ育ってきた代表格ともいえます。私が韓国で生活するようになってから、高麗人参は「特別な薬草」というより、日常の延長線上にある存在として感じられるようになりました。

赤土は石が多く、決してやわらかな環境ではありません。そんな土地で育つ高麗人参は、地中深くに根を張り、長い時間をかけて成長します。収穫までに年数が必要とされる理由も、この土壌条件を思うと自然に理解できます。韓国の農家では、土を休ませながら丁寧に人参畑を管理していく光景が今も見られます。

赤土と根菜文化の深いつながり

高麗人参に限らず、韓国では根菜類が食文化の中心にあります。大根、れんこん、さつまいも、にんにくなど、土の中で育つ作物は料理のベースとして頻繁に使われます。キムチやスープ、煮込み料理に欠かせない存在であり、派手さはなくても、食卓をしっかり支える役割を担っています。

市場で売られている野菜を見ると、日本と比べて形がごつごつしていたり、サイズにばらつきがあったりします。それでも、料理すると不思議と納得感があり、「この土地で育ったんだな」と感じさせる力強さがあります。赤土のミネラルを含んだ野菜は、噛むほどに味わいが広がるように感じられ、韓国料理の素朴さとよく調和しています。

高麗人参が食卓にある風景

日本では高麗人参というと、少し敷居の高いイメージを持たれがちかもしれません。しかし韓国では、参鶏湯をはじめ、日常の料理やお茶、加工食品としても幅広く取り入れられています。特別な日に食べるものでもありながら、同時に「体をいたわる習慣」の一部として、生活に溶け込んでいる印象です。

この感覚は、日本の黒土文化で果物や野菜を季節ごとに楽しむのと、どこか似ているようにも感じます。土地が違えば、身近になる食材も違う。その違いが、健康観や食事の組み立て方にも影響しているのかもしれません。

赤土で育つ作物は、見た目の華やかさよりも、日々の食事を支える安定感を大切にしているように思えます。高麗人参が長い時間をかけて育つように、韓国の食文化もまた、急がず、積み重ねを重んじる姿勢が根底にあります。そんな背景を知ることで、韓国の料理や食材が、より身近で親しみやすい存在として見えてくるのではないでしょうか。

次は、こうした赤土文化と対照的な、日本の黒土が育ててきた食材や味の方向性について、もう少し具体的に見ていきたいと思います。

 

黒土が生む日本の農作物と、味わいの方向性

韓国の赤土で育つ作物を日常的に見ていると、あらためて日本の黒土がもたらしてきた食の風景が思い浮かびます。日本列島は火山活動の影響を強く受けており、その結果として生まれた黒土は、有機物を多く含んだ豊かな土壌です。この土が、日本の食文化にどんな個性を与えてきたのかを考えると、とても興味深いものがあります。

黒土の特徴は、柔らかく、保水性と通気性のバランスがよいことです。植物の根が無理なく広がり、安定して成長しやすい環境が整っています。そのため、日本では野菜だけでなく、果物の栽培が各地で盛んに行われてきました。地域ごとに特産の果物があるのも、日本ならではの風景だと感じます。

黒土が支えてきた果物文化

りんご、みかん、ぶどう、もも、いちごなど、日本の果物は季節感とともに語られることが多いですよね。贈答用としても親しまれ、見た目の美しさや繊細な甘さが大切にされてきました。こうした果物文化の背景には、黒土が持つ栽培のしやすさが静かに支えとなっているように思います。

ブルーベリーのように、比較的家庭でも育てやすい果物が広まったのも、日本の土壌環境が関係しているのでしょう。庭やベランダで果実を育て、収穫を楽しむという感覚は、日本ではそれほど特別なものではありません。この「身近に果物がある暮らし」は、黒土文化の延長線上にあるように感じられます。

野菜の味わいに表れる違い

もちろん、日本でも根菜は大切な存在ですが、韓国と比べると、全体的に野菜の味わいはやさしく、みずみずしさを重視する方向に育ってきた印象があります。サラダや浅漬け、生で食べる文化が根づいているのも、黒土で育つ野菜の質感と相性がよいからかもしれません。

日本の料理では、素材そのものの繊細な風味を引き出すことが大切にされます。強い味つけをせず、旬を感じながら食べるスタイルは、土壌が生み出す作物の性格と無関係ではないように思えます。黒土で育った野菜や果物は、主張しすぎず、料理全体の調和の中で輝く存在です。

韓国の赤土が「力強さ」や「蓄えるエネルギー」を感じさせるのに対し、日本の黒土は「やさしさ」や「広がり」を大切にしてきたようにも見えます。どちらが優れているという話ではなく、土地が違えば、育つものも、育て方も、味の方向性も自然と変わっていく。その違いが、食卓の雰囲気を形づくってきたのだと思います。

日本と韓国、それぞれの土が育ててきた作物を知ることで、料理や食材に対する見方が少し変わってきます。次は、こうした土の違いが、日々の食卓や食の選び方にどんな影響を与えているのか、在住者の視点からもう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。

土の違いを知ると、韓国の食卓がもっと身近になる

韓国で暮らしながら食卓に向き合っていると、「何を食べるか」だけでなく、「どんな土地で育ったものか」を自然と意識するようになります。赤土の大地で育った野菜や根菜は、派手さはなくても、料理の土台としてしっかり存在感があります。その感覚は、日本で黒土が育ててきた果物や野菜を味わってきた経験があるからこそ、より鮮明に感じられるのかもしれません。

韓国の家庭料理や外食は、素材そのものを前面に押し出すというより、毎日食べ続けられる安心感を大切にしているように見えます。スープや煮込み、発酵食品が多いのも、赤土で育つ作物の性格とよく合っています。食事は特別なイベントというより、体と気持ちを整えるための習慣。その考え方が、日常の料理に静かに息づいています。

日本から見ると、韓国の食は刺激的で、味が濃いという印象を持たれがちかもしれません。でも実際に暮らしてみると、その奥には、土地と向き合いながら積み重ねてきた穏やかな食のリズムがあります。赤土で育つ根菜や高麗人参のような食材は、長い時間をかけて料理に溶け込み、毎日の食卓に自然と組み込まれています。

一方で、日本の黒土が育ててきた果物や野菜を思い返すと、季節ごとの楽しみや、素材そのものを味わう喜びが浮かび上がります。どちらの食文化も、土地の性質を受け入れながら形づくられてきたもので、比べることで初めて見えてくる魅力があります。

韓国の食を楽しむとき、もし余裕があれば、「この食材はどんな土で育ったのだろう」と少しだけ想像してみてください。そうすることで、料理の味わいだけでなく、その背景にある暮らしや価値観まで、ほんのりと感じ取れるようになります。旅行で食べる一皿も、スーパーで選ぶ野菜も、見え方が少し変わるはずです。

土は普段、意識されることの少ない存在ですが、確実に食を支えています。韓国の赤土と、日本の黒土。その違いを知ることは、食文化の優劣を決めることではなく、どちらの土地も大切に育んできた「おいしさの方向性」を知ること。そんな視点を持ちながら、これからも韓国の食を、日々の暮らしの中で味わっていきたいと思います。

 

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